軌跡、そして未来
名陶工 味楽

先代

十四代 ⻲井味楽

十四代 ⻲井味楽 十四代 ⻲井味楽
昭和6年生まれ。
茶陶制作のあらゆる技術に長け、高取焼を「一楽、二萩、三唐津」に匹敵する地位へと興すべく、国内外にて作品を発表し続け、さまざまな工芸・芸術展にて入選・受賞を重ねる。
昭和52年、福岡市無形文化財工芸技術保持者第一号認定。昭和63年に国際芸術文化賞、平成3年に福岡県技能功労賞、平成13年に黄綬褒章を受賞。
その作風は、遠州好みの端整な佇まいの中に、肩の力の抜けた穏やかさを漂わせる。

経歴

昭和6年
8月6日生 本名亀井源八郎
祖父十三代味楽に師事
昭和50年
三笠宮妃殿下工房見学
昭和52年
福岡市無形文化財工芸技術保持者認定
「高取焼の技法」文化庁、福岡市教委文化課 技術記録撰択を受
昭和57年
福岡県買上げ天皇陛下に文琳茶入献上
平成11年
国卓越技能賞(現代の名工)
平成13年
黄綬褒章 大徳寺雪底老師より隠居名「又生庵」の号を受
平成26年
1月6日 逝去
日本工芸会正会員
全国百貨店にて個展
美術・陶芸展にて受賞多数

代表作

  • 高取白釉笹耳付花入(白釉・銅化釉)

    高取白釉笹耳付花入(白釉・銅化釉)
    擂座を並べ、上下に掛け分けを施した花入は、数十人が集う大寄せ茶会などが度々開かれた当時の茶席に映える、存在感ある華やかさが特徴的。
  • 高取掛分透菓子器(黄釉・白釉)

    高取掛分透菓子器(黄釉・白釉)
    仙厓禅画の「〇△□」をモチーフとした透かしで禅の世界観を表現しながらも、どこか洒脱さを感じさせる菓子器。片身替の釉により、二つの趣が楽しめる造り。
  • 高取黄釉福耳付水指(黄釉・黒釉)

    高取黄釉福耳付水指(黄釉・黒釉)
    鮟鱇型に福耳をあしらった作品。黄釉に黒釉の流し掛けを施す高取焼の伝統技法により、深みのある美しいグラデーションが表現されている。
  • 高取黒釉胴〆茶盌(黒釉)

    高取黒釉胴〆茶盌(黒釉)
    山さびを原料とした黒釉は高取伝統釉であるものの、黒の単色掛けは珍しい。遠州好みに織部のエッセンスを加えた胴締め型で、造形の魅力を感じさせる。
  • 高取文琳茶入(黄釉に白流し)

    高取文琳茶入(黄釉に白流し)
    博多の豪商・神屋宗湛が所持し、豊臣秀吉や黒田長政から所望されるなどのエピソードを持つ名物唐物茶入・博多文琳に、現代的解釈を加えた作品。

十三代 ⻲井味楽

十三代 ⻲井味楽 十三代 ⻲井味楽
明治16年生まれ。本名亀井弥太郎。
明治36年に「亀井」と改姓し、亀井味楽窯の当主となる。長く福岡市議会議員を務めるなどしたが、表千家・岩井宗麟の言により茶陶に専念。名工の名が高く高取焼の復興に尽力し、昭和19年に農商務省より技術保存者として認定される。
自然そのままを切り取ったような作為を感じさせない風情と、優しく穏やかな作風を特徴とする。

代表作

  • 高取白釉杵型花入(白釉・黒釉)

    高取白釉杵型花入(白釉・黒釉)
    藁白釉に黒の流しをあしらった杵型の花入。登窯による火度の高さが釉薬のガラス化を強めて優れた艶感を生み、灰による窯変美が自然な味わいを深めている。
  • 高取白釉四方水指(白釉に黒流し)

    高取白釉四方水指(白釉に黒流し)
    水引のみで整えて筋目紋を活かし、削りを一切行わずに仕上げられた端整な手仕事。柄杓掛けの白釉が柔らかに波打ち、黒釉流しが美しい景色を作る。
  • 高取掛分菓子器(白釉・銅化釉・黒釉)

    高取掛分菓子器(白釉・銅化釉・黒釉)
    白釉を下地に、黒釉と銅化釉をたくみに掛分けて三彩釉の効果を見せた作品。登窯の中で天然灰をかぶって生まれたくすみが、自然の趣を醸している。
  • 高取黄釉茶盌(黄釉に黒流し)

    高取黄釉茶盌(黄釉に黒流し)
    1630年代の白旗山時代に作陶された半筒型茶盌の写し。黄釉に黒流しの格調ある景色は、遠州高取の色合いに倣ったものと考えられる。
  • 高取耳付茶入(黄釉に黒流し)

    高取耳付茶入(黄釉に黒流し)
    「茶入の味楽」と言われた十三代の真骨頂ともいえる繊細な神経が行き届いた作品。茶入から茶碗へ直に抹茶を入れる流派用に、なで肩に仕上げられている。